現在、日曜ドラマシリーズ『VIVIAN』で「別班」の存在が話題となっていますね。
映画『KT』の中で、佐藤浩市さん演じる自衛官の富田(坪山晃三がモデル)は、自衛隊陸幕の諜報活動する「別班」を演じていました。
「別班」自衛官の富田の任務は、日本国内でスパイ活動を行う在日朝鮮人の監視をすることでした。
なおこの映画の中で、陸上自衛隊中央調査隊・佐竹春男を演じた今話題の香川照之さんが第76回『キネマ旬報』助演男を受賞しています。
もくじ
映画『KT』のKTの意味は?
「KT」とは、「金大中」のイニシャルからとった拉致暗殺命令「KT作戦」のこと。
金大中(キム・デジュン)氏は「Kim Tea-jung」と表記します。
その頭文字をとって「KT」としたわけです。
映画『KT』のあらすじ
韓国大統領の強力なライバル金大中が、韓国中央情報部(KCIA)によって拉致され、5日後にソウル市内の自宅前で目隠しされ、傷だらけの状態で発見された"金大中事件"を阪本順治監督が描いたポリティカル・サスペンス。
1971年には、韓国で3回目の大統領選が実施され、朴正熙(パク・チョンヒ)大統領が3選を果たしましたが、当時彼の地位を脅かす可能性のある候補者も存在していました。
それは野党候補の「金大中(キム・デジュン)」。
敗れたものの予想をはるかに上回る票数を獲得した彼を含む「反対勢力」の存在を再確認した朴大統領は、自らの政権に反発する者はみな「武力」で弾圧します。
そんな中、金大中は日本とアメリカを行き来しながら亡命をし続け、「反朴政権と民主化運動」を続けていました。
在日韓国人のスパイたちは、金大中を今後韓国に必要な人材だと考えて守ろうとしていたのです。
この頃から日本にいるKCIA幹部たちは、彼の行動に目を光らせ、金大中は追われる身になったのです。
1973年4月。
自衛隊陸上幕僚監部二部所属の富田満州男(佐藤浩市)の任務は、日本国内でスパイ活動を行う在日朝鮮人の監視をすることでしたが、アルバイトをしながら日本で暮す李政美(ヤン・ウニョン)と出会い、韓国大使館一等書記官・金車雲(キム・ガプス)の指揮により、韓国中央情報部(KCIA)に拉致されそうになる彼女を救い、彼は、韓国人女性・李政美に恋をします。
1973年6月。
韓国の朴正煕軍事政権から亡命し、日本で祖国の民主化を促進するために積極的な活動をしていた金大中を拉致暗殺するように命じられた駐日韓国大使館一等書記官の金車雲(キム・チャウン 演:キム・ガプス )らは、ついにその命令を実行に移そうとしていました。
名付けて「KT作戦」。
その作戦に、陸軍士官学校時代から朴大統領とつながりを持つ自衛隊陸上幕僚二部部長の塚田は、朴大統領の指示により、民間興信所を設立し、韓国中央情報部(KCIA)を支援するよう、陸幕二部に所属する富田に命じます。
「興信所(ミリオン資料サービスがモデル)を作って韓国のKCIAに協力しろ」
という指令が下るのです。
冨田は、金大中の行方を追うために様々な手段を使うのでしたが、常に大使館内部の密通者に偽情報を与えられてしまいます。
駐日本国大韓民国大使館一等書記官の金東雲は、金大中殺害こそが韓国のためになると信じている愛国者でした。
しかし、日本にいる金大中は、在日韓国青年同盟(実在の組織)などに守られ居場所すらわかりません。
そんな中、富田は、金大中の取材に成功していた夕刊トーキョーの記者・神川昭和(原田芳雄)に接近し、遂に金大中が8月9日に自民党で講演を行うとの情報を入手します。
一報を受けた金車雲は、それを機に作戦を実行しようとします。
ところが、またしてもその計画が漏洩し、神川を通して週刊誌にスクープされてしまい、金大中を見つけることはうまくいきません。
金大中は、南北統一を望む政治家であり、北朝鮮を嫌う富田と金東雲にとっては嫌悪すべき思想で、ふたりは、共闘することで不思議な絆が生まれていくのでした。
この状況において、KCIAは強引な手段に出ることを決め、金大中が講演する前日に日本に滞在していた民主統一党党首の梁宇東を訪ねることを狙います。
上官から自衛隊の関与を恐れて手を引くように指示されながら、富田は、自分が想いを寄せる韓国人女性である李政美の手術費用を協力費として金車雲から受け取ります。
予想外の展開があったものの、金車雲たちは、金大中を拉致することに成功しました。
彼らは、用意してあった船で故国へと走り出すが、アメリカの要請を受けた自衛隊によって計画は阻止されてしまうのでした。
その後、上官によって退官を命じられた富田は、金車雲の安否を心配し、全てを神川に打ち明けます。
彼は、李政美と田舎で暮らすことを決めますが、銃弾によって一命を落としてしまいます。
「別班」の自衛隊員を演じた佐藤浩市
当時、日本で三島由紀夫という作家が陸上自衛隊の東部方面総監部を攻撃して自殺した事件が起こりました。
その後、自衛官が現場に「一輪の花」を置いていく姿が見られました。
その自衛官は富田という陸上自衛隊のキャリア幹部で、自衛隊陸幕諜報活動の「別班」いわゆる「日本のCIA」のような存在で、自衛官としては珍しく、常に影で任務を遂行していました。
この冨田役を演じたのが佐藤浩市さんでした。
富田には、守りたいと思う人物がいました。
それは、韓国出身の女性である李政美です。富田は、彼女を別件で調査しているうちに、彼女に惹かれてしまいました。
「金大中暗殺未遂事件」は、韓国と日本の間で大きな事件となり、最終的にはアメリカも関与することになりました。
作品を通じて、朴政権とKCIAの強大な権力を理解することができます。
しかし、このような強力な政権でも最終的には「アメリカ」の命令に従わなければならなかったことは、現在でも日本と韓国の両国にとって「もどかしい」問題の一つです。
この事件後、朴政権は18年間にわたって軍事政権を維持してきましたが、最終的にはその終焉を迎えました。
映画『KT』作品レビュー
この作品は第52回ベルリン国際映画祭のコンペティション部門に正式出品されました。
韓国では不入りを理由に2週間ほどで上映が打ち切られ、興行的には失敗に終わったため、「史上初の日韓同時公開」と宣伝されたものの、実際には成功しなかったと言えます。
実話を描いたとはいっても、ナゾが多い事件だけに、かなりフィクションの要素があります。
事件の背後で自衛官たちが暗躍し、KCIAに協力したというのがその中心。
特に佐藤浩市演じる自衛官が、戦後体制や戦わない自衛隊に疑問を持ち、自らの戦争としてKCIAに協力し、原田芳雄演じる新聞記者がその対極にある人物として対立するという構図が、人間ドラマとしての重みを生み出しています。
拉致計画の立案から実行に至るあたりの緊迫感には並々ならぬものがあり、フィクションを織り込んでいるとはいえ、「もしかしたら本当に……」と思わせるリアルさが伝わってきます。
韓国人の反日感情や、日本人の韓国人に対する差別の問題などもさり気なく取り上げて、ただのエンターティメント作品ではない深みを持たせていますが、最大の深みは、独裁者にとってのライバルを実力で消し去ろうとする怖い国家による犯罪。
日韓の役者がガップリ四つに組んだ白熱の演技も見もので、実際の事件のリアルさと、事件を知らない人も楽しめるエンターティメント性を融合させ、日韓合作ということで、元気な韓国映画の活力が注ぎ込まれたことも、この映画にとって大いにプラスだったと思います。
映画化された2002年は、事件から約30年たっており、このぐらい経たないと、こういう映画はできないんでしょうね。
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映画『KT』に関連する動画
映画『KT』についてX(Twitter)の反応
ぱらみり
@paramilipic謎のヘリ、映画「KT」の原作というかネタ元本の「拉致」では明確に海保ヘリと書いてあるのに、映画では自衛隊ヘリに差し替えられてて本当に謎 当時の八尾航空基地所属ベル206だったはず
森兵長@城南洋行성남양행
@HejanTkm金大中拉致事件 ホテルグランドパレスで拉致 ↓ 車で大阪まで移動(途中領事館orアジト経由) ↓ 大阪から小舟で沖の船に移動 ↓ 謎のヘリが飛来し牽制 ↓ その後ソウルの自宅前で解放される ヘリは 米軍説(ドラマ第5共和国) 自衛隊説(映画KT) 海上保安庁説等、はっきりしない。
映画『KT』、陸幕第二部別班所属の現役自衛官が、金大中事件で拉致の実行まで思いっきり関わっていたってことに脚色されているのが大好き(実際には別班OBがほんのちょこっと情報提供しただけで、それ以上の協力要請は断ったらしい)
— みりた (@kalassh68) October 29, 2020
金大中拉致事件
ホテルグランドパレスで拉致
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その後ソウルの自宅前で解放されるヘリは
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海上保安庁説等、はっきりしない。 https://t.co/73ERhDYXY5— 森兵長@城南洋行성남양행 (@HejanTkm) July 26, 2023